かつて阿蘇の草原は⽜⾺の放牧地として利⽤され、刈り取った草は⽜⾺のエサとなり、田畑の肥料として農業に利⽤され、茅葺き屋根の材料になるなど、⼈々の暮らしを⽀えるものでした。やがてライフスタイルの変化とともに、これらの営みは次第に薄れつつあります。
アフリカや⾼⼭の草原とは違い、阿蘇の草原は人の関わりなしには維持できません。⼈が⾃然と向き合い、千年もの永い間、⼿を加えることで培ってきた阿蘇の草原の中には、自然との共生の知恵が詰まっています。
草原の上を放牧された牛馬が歩く牧歌的な風景は、阿蘇の風物詩。その風景は、年間約1,100万人の観光客が訪れる阿蘇の最大の魅力となっています。近年は、草原トレッキング、草原ライド、ナイトハイク、ヨガ、BBQ、乗馬など、草原の活用方法も広がりを見せており、観光客の阿蘇に対する需要はますます高まっています。
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熊本県が2016年に行った調査では、30年後には約6割の草原面積が失われるかもしれないという未来が示唆されました。草原を取り巻く状況が非常に厳しい中で、30年後の目標を設定し、草原再生に取り組んでいます。