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草原基礎用語
五十音順になっております。

用語
よみ
解説
あか牛
あかうし
 明治から大正にかけて、役牛として用いられていた在来牛とスイス産のシンメンタール種という牛をかけ合わせてつくられたもので、品種としては「褐毛和種」と呼ばれるもの。24ヶ月ほどで肉用牛として出荷できるという早熟性(黒毛和種(一般に言う黒牛)は30ヶ月程度)、穏やかな性格、寒さに強く放牧に適していて手間がかからないといった利点がある。
入会地
いりあいち
 明治以前に、一定集落の住民が集落近くの一定の山林原野などで日常生活に必要な薪炭用の雑木等を採取したり、採草放牧に利用したりして、その収益を共同のものとすることができた歴史を尊重し、明治以降、土地の所有が国あるいは市町村などに移った後もそれ以前と同様に利用する権利が認められた土地をいう。現在の民法によると入会権を所有する資格として、
1その土地の維持管理(公役(くえき))に従事する義務を果たすこと、
2その地域に定住する者であること、
3(阿蘇の場合は)入会地を畜産に利用していること、
の条件を満たしていることが定められているが、地域によって解釈が異なっており、裁判になった事例もある。阿蘇の草原の大半は入会地となっており、原則として入会権者(戸単位)で構成されている原野管理組合等によって維持管理が行われているが、畜産と関わりをなくした入会権者の増加により、輪地切りなど維持管理の一部を畜産農家だけで行っているところもある。
役牛
えきぎゅう
 使役牛(しえきぎゅう)とも呼ばれるもので、主に農耕用として飼育されている牛を指す。阿蘇に限らずトラクターなどの機械が普及する前は、ほとんどの農家で役牛数頭を飼育していたが、農業形態の変化とともに見られなくなっている。

用語
よみ
解説
改良草地
かいりょうそうち
牧草地」を参照。
茅野
かやの
 茅葺屋根の材料とする枯れたススキを1〜2月に刈り取る目的で管理された草地のこと。ススキが密集しているのが特徴で、ススキの勢いが強く他の植物を圧倒するためオミナエシやカワラナデシコといったススキ以外の草は少なく、比較的多様性が低い。採草地と根本的に異なる点は、秋の採草は行わずに春の野焼きだけが行われることである。
乾草ロール
かんそうろーる
ロール」を参照。
公役
くえき
 集落の人間が共同で行う作業のこと。牧野に関する共同作業については、入会権を持つ者が公役に参加し、主な作業として、春の野焼き、夏から秋にかけての輪地切りと輪地焼きがある。
草小積み
くさこづみ
 秋に刈った野草を1〜2日天日乾燥し、稲手(稲の茎)で結束したものを、垂直に小高く積み上げたもので、冬の間の牛の餌などに利用される。草小積みの最上部には、干し草を雨から守るためにススキが広げられた。冬枯れの草原に点々と残る草小積みは阿蘇の風物詩として親しまれているが、近年では乾草のロールとして刈った草をまとめるため、草小積みは数が減ってきている。
草泊まり
くさどまり
 秋に行われる干し草刈りの期間中、採草地の近くで野営すること、あるいは野営するときにススキで作る小屋のこと。阿蘇地方では、昭和30年代まで北外輪山地域の端辺原野で行われていた。南小国村の中原地区や満願寺地区などから、多い時は150戸余りの農家が長い道のりを経て、原野にやって来て、泊りこみで草を刈り、草小積みを作って冬に備えていた。
原野
げんや
 厳密な意味をもつ言葉ではないが、普通、草本植物が生えた広い場所を指す。この意味で植物社会学でいう草原に近いが、荒原も一部含まれているといえる。阿蘇の人々は草原の広がる土地をこの「原野」という言葉で呼んでいる。野草地だけをさす場合と、野草地と改良草地の両方を含めていう場合がある。

用語
よみ
解説
採草地
さいそうち
 冬場の飼料となる草を採るための場所を指す。人の背丈ほどに伸びたススキやネザサ、トダシバなどが繁茂する草地で、その様子から長草型草原に分類される。阿蘇では、風物詩となっている野焼き、盆花採り、干草刈り、草小積みなど多様な営みが行われている。
採草放牧地
さいそうほうぼくち
採草地と放牧地をまとめて指すときのいいかた。
使役牛
しえきぎゅう
役牛」を参照。
敷料
しきりょう
畜舎内で家畜を飼うときに、家畜の足元に敷く干草のこと。
自然草原
しぜんそうげん
 高山地帯などのように、気候や土壌、地形などの自然的制約を受けて、他の植生が成り立たない場所に形成されている草本植物の優占する群落を指す。
湿地性植物群落
しっちせいしょくぶつぐんらく
 「水湿性植物」を参照。
周年放牧
しゅうねんほうぼく
 通常阿蘇では夏に放牧して、冬は屋内(畜舎)で牛を飼育しているが、冬になっても放牧させる飼育形態を指す。冬も放牧させることで飼育農家の負担は減る。冬の間不足する餌として、冬でも青い草が生えている改良草地を用いたり、干草などを与えることが多い。
人工草地
じんこうそうち
牧草地」を参照。
水湿性植物

すいしっせいしょくぶつ
 水湿地とは、水分が過剰で一般の植物は生育が困難な場所で、阿蘇では阿蘇谷や草原に点在するくぼ地にに見られる。
 この環境に適応した植物を水湿性植物といい、湿地性植物群落を構成する。代表的なものにヤマアゼスゲ、タニガワスゲなどスゲ属植物がある。
 阿蘇の草原は多くの大陸系遺存植物を産することで知られているが、そのかなりの部分をこの水湿性植物が占めている。
草原
そうげん
 植物社会学上は草本植物が優占している場所あるいはその場所に発達している群落をいう。木本植物が混生していてもそれが優占することなく、主として草本植物からなりたっている群落である。
草地
そうち
 家畜の放牧、または、家畜のための餌や敷料を採取する目的に供される、農用地としての草原をいう。「草地」には「野草地」と「牧草地」とがあり、その利用方法によって放牧地、採草地あるいは採草放牧地に分けられる。
草地改良
そうちかいりょう
 野草地などを耕やして、外来の牧草の種子をまき、肥料を与えて牧草地を作り出すことを指す。
小規模樹林地除去
しょうきぼじゅりんちじょきょ
 草原の中に島状に点在する樹林地周辺では、輪地切り延長が長く管理が大変なため、野焼きが行われず藪化が進行している。
 こうした樹林地を除去することで、輪地切りの延長を大幅に短縮し、輪地切りの負担を軽減させるもの。

用語
よみ
解説
大陸系遺存植物
たいりくけいいぞんしょくぶつ
 朝鮮半島や中国東北区など、大陸と共通に見られる種を指す。約15万年前、九州が大陸と陸続きであった時代に南下してきた植物で、阿蘇では火山活動と人々の営み(牧畜)によって草原が維持され、また高原の冷涼な気候に恵まれたことによって、今なお50種以上が生き残っている。
短草型草原
たんそうがたそうげん
 阿蘇の放牧地では、牛が草を食い詰め、土壌を踏みつけるために、草丈が低い草原になる。このような丈の低い草原を短草型草原という。
長草型草原
ちょうそうがたそうげん
 採草地、茅野、草原に点在する湿地などの丈の高い草本植物が生育する草原。

用語
よみ
解説
二次草原
にじそうげん
 自然草原に対して、森林の伐採跡地に生じた草地に採草、火入れや放牧などの直接的あるいは間接的な人為的干渉が繰り返し加えられることによって成立し、また持続する植生である。
野焼き
のやき
 草原が森林へ移行するのを防ぐとともに、その年の草の生産性を高めるために、火を入れる(焼く)作業を指し、原則として、草原を利用する権利を有する入会権者の手によって行われる。阿蘇では春の彼岸を中心に一斉に行われる。草原に火が放たれ、すさまじい勢いで茶褐色の山肌をかけ上がるさまは壮観で、多くの観光客が見に訪れる行事ともなっているが、広大な面積を一気に焼く野焼きは極めて危険な作業であり、熟練と高度な技術が必要な作業である。
野分け
のわけ
 共同利用している採草地の土地を配分すること。各農家の牛馬飼育の規模、牧道からの距離、草立ちの状態など、さまざまな条件が加味されて配分される。区画は、草原の尾根や谷など地形に沿って割り当てられ、草地の利用が公平を期すよう、通常3年ごとに交替された。

用語
よみ
解説
バイオマス
ばいおます
 生物資源という意味で、薪などの木材資源、堆肥や緑肥、家畜の糞尿や家庭から出る生ゴミなどの幅広いものを指す。これらはバイオマスエネルギーとして利用できるため、近年、石油や石炭といった化石燃料に代わるエネルギー資源として注目されている。
半自然草原
はんしぜんそうげん
二次草原」を参照。
繁殖牛
はんしょくぎゅう
 子牛を産ませるための牛を指し、子牛は肥育されて肉用牛として出荷される。阿蘇の草原に放牧されている牛のほとんどは繁殖牛とその子牛である。
肥育牛
ひいくぎゅう
 肉用として出荷する前に栄養分の高い餌を与えて太らせた牛のこと。牛舎の中で肥育する場合と、放牧しながら肥育する場合(放牧肥育)がある。
古野
ふるの
 草原の生産性を回復させるために、一年間刈り取りをやめて放置した草地のこと。古野をつくることによって、草原の退行を防ぎ、永続的に採草可能な安定した草原を維持していた。
放棄地
ほうきち
 放棄地というと様々な場所を指すが、牧野に関しては、以前は草原として管理していた場所が、放牧・野焼き・採草が行われなくなり、放棄されている場所を指す。放棄された草原は低木や潅木が茂り、藪になっていく。阿蘇では根子岳の裾や夜峰山などで見られ、新緑の5月や6月になっても枯れたススキが茶色く残っていて、景観的に好ましくない。また、枯れた草が堆積していくため、常に山火事が発生する危険があり、草原特有の生物多様性が失われてしまうといった問題が指摘されている。
放牧地
ほうぼくち
 牛馬の放牧場所を指す。伸びてくる草を牛馬が次々に噛み取るため、刈り込んだ芝生のように見える。その草丈の低い草地の様子から短草型草原といわれ、草千里などで典型的な姿を見ることができる。
放牧肥育
ほうぼくひいく
肥育牛」を参照。
牧草地
ぼくそうち
 野草地を改造して栄養価の高い牧草を育てる場所で、大型の機械で野草地を耕して外来の牧草の種子をまき、肥料を与えて育てる。「改良草地」、「人工草地」ともいう。
牧野
ぼくや
 牛馬の生産飼育のため、放牧または採草に利用されている土地を指し、野草地と牧草地だけでなく森林も含まれる。
牧野組合
ぼくやくみあい
 入会地を利用して畜産業を営んでいる農家(有畜農家)によって構成される。農業法人となっている組合もあるが、多くは任意団体である。入会権者との関係は組合によって異なるが、畜産業の衰退に伴い、入会権者の中に畜産を営まない農家(無畜農家)や農業自体をやめる人が増え、入会権者で組織される原野管理組合等に占める牧野組合員の割合は年々減少している。利用している入会地の牧道や牧柵管理は牧野組合が担っている。
干草刈り
ほしくさかり
 放牧期間以外の冬場に、畜舎で牛馬を飼うために必要な干草を確保するために行うものであり、阿蘇地方の干草刈りは、ススキの穂波がそよぐ9月中旬から始まり、10月中旬まで続く。刈られた野草は1〜2日天日乾燥された後、稲手(稲の茎)で結束され、草小積みに積み上げられる。
盆花採り
ぼんばなとり
 毎年8月、月遅れのお盆の時期に行われる地元の風習。採草地を彩る野の花を「盆花」として先祖の墓前に供える。採る花はカワラナデシコやオミナエシなど。

用語
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解説
無畜農家
むちくのうか
有畜農家に対す言葉で、畜産を営んでいない農家を指す。
モーモー輪地切り
もーもーわちきり
 野焼きの前に行われる「輪地切り」は、残暑の厳しい頃に急斜面で行われるため過酷で危険な作業となっている。モーモー輪地切りは、輪地切りの負担を軽減するための手法として島根県の三瓶山で発案されたもので、具体的には、輪地切りの予定地を電気牧柵で囲い、その中に牛を放牧させて草を食い詰めさせることによって輪地を作成するもの。

用語
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解説
野草地
やそうち
 日本の気候条件の下で、耕作されることなく草本植物が優占している群落を利用している場所をいう。放牧、採草といった利用方法や気候条件によって植生の型は異なる。
有畜農家
ゆうちくのうか
農家のうち、畜産を営んでいる農家を指す。阿蘇では、牛や馬を飼育している農家を指すことが多い。
預託放牧
よたくほうぼく
 入会権を持たない農家から委託されて牛を牧野に放牧することを指す。近年、阿蘇では牛の放牧頭数が減ってきていて、草が余ってきているため、預託放牧をすることで効率よく牧野が利用される。

用語
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解説
ラップサイレージ
らっぷさいれーじ
ロール」を参照。
緑肥
りょくひ
生草をそのまま土に鋤(す)き込んで、栽培植物の肥料とするもの。
ロール
ろーる
 ラップサイレージ、ロールサイレージ、乾草ロールなどとも呼ばれる。刈り取った草を機械で丸めて白いビニールで覆ったもの(黒いビニールを使う場合もある)。このビニールの中では乳酸発酵が進み、牛の餌や敷料、堆肥用の草などに利用される。
ロールサイレージ
ろーるさいれーじ
ロール」を参照。

用語
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解説
輪地切り
わちきり
 野焼きを行う際の周囲への延焼を防ぐために、防火帯として森林などとの境に大鎌や刈払機を使って草を6〜8メートル幅に刈り払う作業をいう。刈り払った4、5日後に、乾いた青草を焼いて(輪地焼きという)、防火帯が完成する。野焼きに不可欠な、極めて重要な準備作業であるが、主に8月下旬から9月中旬の暑さの残る中で行われる重労働の作業であり、現在野焼きを実施する上で最大のネックになっている。


 
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