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【報告】阿蘇地域における草原維持管理省力化の取り組みが植生に及ぼす効果
小路 敦、平野 清、中西雄二
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター 草地管理利用研究室

【はじめに】
 近年の担い手の減少・老齢化等により、草原の維持・保全が困難になってきている阿蘇地域において、自然再生推進法の施行を受け、自然再生事業の実施に向けた阿蘇地域自然再生推進計画調査が開始された。演者らは、草原の維持・再生に向けた各種試験の実証地において、その効果を検証し、成果を自然再生事業実施計画策定に活用するため、(1)放牧を活用した省力的な防火帯づくりの効果についての検証、(2)長期間利用休止された牧野における火入れ効果の検証、(3)不要森林除去後の草原植生の回復過程の解明 を目指し、植生調査等を通じて、各種試験の効果を検討したので報告する。

【方法】
(1) 「モーモー輪地(ウシの重放牧によって創出された牧野防火帯)」実証地において、植生(2m×2m固定調査枠3牧区×3点)および地上部現存量(2m×2m移動調査枠3牧区×1点)を調査し、隣接する牧野(2m×2m移動調査枠3牧区×1点)と比較して、放牧を活用した省力的な輪地切り(防火帯づくり)の効果について検証した。
(2) 長期間利用休止された牧野における火入れの効果を解明するため、10年ぶりに火入れが再開される牧野において、火入れ再開前の地上部現存量を調査(2m×2m移動調査枠3点)した。
(3) 牧野に孤立する不要森林の除去試験地(平成14年度および15年度に除去ずみ)において固定調査枠を設置(2m×2m枠2試験地×5点)し、森林除去後の草原植生の回復過程を明らかにするため、除去後1年目および2年目における植生状況を調査した。

【結果及び考察】
(1) 「モーモー輪地」実証地A〜C各牧区では、いずれも対照区と比較して総現存量・ススキ現存量とも少なく、地上部現存量減少効果が認められた(図1)。ただ、C牧区では、他の牧区と比較してススキ現存量の割合が高く、放牧時期や放牧圧によってはススキの抑圧効果が低くなることが示唆された。A、B牧区ではネザサ、トダシバが優占していたが、ススキも皆無ではないため、効果を維持するためには、今後もこれまでと同程度の放牧圧を維持する必要がある。土壌硬度は各調査区とも22前後と高く、調査区間でほとんど違いが認められなかったが、現在放牧を実施していないC対照区では平均で13と、比較的低い値となった(図4) 図1
図2
図3
(2) 総現存量(リターを含む)は1,500g/m2を超え、その多くを枯死部が占めており、斜面下部から上部に向かうにつれて増大する傾向が見られた(図2)。表層土壌の硬度は平均で10前後と火入れ牧野と比較して低い値となった。土壌硬度のみでは判断できないが、火入れ放棄により、土壌粒子間の緊縛力が低下していることが示唆された(図4)


(3) 森林除去試験地では、対照の火入れ野草地における優占状態には及ばないものの、2試験地ともすでにススキが最優占種となっており、ススキがすみやかに定着することが示された(図3)。枠あたり(2m×2m)の平均出現種数は「モーモー輪地」とさほど変化なかったが、総出現種数は放牧地や火入れ牧野と比較して豊富であった。表層土壌の硬度は10前後と低く、土壌粒子間の緊縛力低下が示唆された(図4)
図4


 
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