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阿蘇の草原再生、これまでの取組み

阿蘇の草原再生に向けた環境省の取り組み
 
 

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国立公園内草原景観維持モデル事業
 報告書  
  出典:「平成13年度国立公園内草原景観維持モデル事業報告書」(平成14年3月環境省自然環境局)資料編より


1.阿蘇の草原の価値
 

●風景としての草原阿蘇郡内の国立公園区域図
 国立公園としての阿蘇の魅力は、東西18km、南北25km、周囲128kmに及ぶ世界最大級のカルデラ地形と、その内外に広がる草原景観にあります。この雄大な景観が評価され、昭和9年に国立公園に指定されました。
 現在、この景観を主な目的に、年間約1500万人を超える観光客が阿蘇を訪れており、阿蘇の草原は熊本県の観光を支える大きな要因となっています。

●農業・畜産業の場としての草原
 阿蘇では、火山灰土壌、高冷地という条件下で農業が営まれ、採草、放牧などの草地利用は水田耕作や畑作と密接に結びついていました。現在、阿蘇は日本でも有数の肉用牛生産基地であり、放牧頭数や草の利用など牧野利用が減少する中、農業関係では、周年放牧や預託放牧など牧野利用活性化に向けた取り組みが拡大してきています。


標高図河川図


●文化を生み出す場としての草原

 1000年に及ぶ牧野利用の歴史は、野焼き、盆花取り、干し草刈り、草小積みなど生業や生活にとって不可欠な営みを草原と結びつけ、地域固有の文化を生み出しました。草原は自然と人との共生の文化の象徴であり、身近なふるさとの原風景ともいえます。

 ●国土保全や水源涵養機能を有する草原
 阿蘇の草原は九州中・北部の6本の一級河川の源流にあたり、河川流域住民の飲み水に直結しています。草原が荒れると「霜崩れ」という土砂流出が起こったり、火災の危険性もあります。

●生物多様性保全の場としての草原
 阿蘇の野草地には、阿蘇だけにしか生育していないハナシノブなど日本の北方から南下してきた植物、ヒゴタイ、ツクシマツモトといった九州が大陸と陸続きであったことを物語る植物が存在するほか、草原特有の野鳥や昆虫等の動物も生息する生態系を形づくっています。


2.阿蘇の野草地の変遷
 
 昭和40年代を中心に植林や人工草地化が急速に進み、野草地が激減しました。その後も、管理作業の放棄による藪化や植林地、改良草地、大根畑、宅地などへの転用等により、野草地は減り続けています。
明治・大正期の荒地図 明治・大正期
阿蘇山は火口部と根子岳山頂以外は一面の荒地。
外輪山の外側にも荒地が広がっている。
昭和20年代の荒地図 昭和20年代
阿蘇山周辺の荒地が南阿蘇村(旧白水村、旧長陽村)の南斜面や火口部、根子岳、杵島岳、高嶽山頂部を中心に樹林化。外輪山でも北側、西側は変化しないが、南側では荒地が大きく減少。
現代の荒地図 現代
阿蘇山の荒地はさらに減少し、火口の中央部から1km〜4kmの圏域に島状に樹林地を含みながら荒地が残っている。
 ■荒地(野草地等)
  出典:自然景観地における農耕地、痩地の景観保全管理手法に関する調査研究報告書


3.国立公園内草原景観維持モデル事業
 
 国立公園阿蘇の草原は数百年に及ぶ牛馬放牧、採草、野焼きなど人為によって維持されてきましたが、近年の畜産業の低迷や畜産従事者の高齢化などとともに、草原維持のための一連の作業を行うことが困難となりつつあり、その結果、景観の維持や貴重な生物生育生息環境が危機に瀕しているのが現状です。こうした現状を打開するため、環境省では平成12〜13年度にかけて本事業を実施してきました。

検討内容
 
成果及び明らかになったこと
(1)保全すべき草原の評価に関する検討
 国立公園の貴重な景観要素として草原を維持するという観点から、保全すべき草原の評価を行う。
1 景観・希少種保護の視点から、それぞれ保全すべき草原を抽出
2 1に牧野組合の管理状況を合わせて、保全・維持管理対策の緊急度が高い地域を抽出
3 今後の保全方針の検討

詳しくはこちら
阿蘇の景観保全上重要な草原
[PDF703KB]
阿蘇の希少動植物の保護上重要な草原
[PDF32KB]
阿蘇の景観保全・維持管理対策の緊急性が高い重要な草原
[PDF437KB]
阿蘇の希少動植物の保護対策の緊急性が高い重要な草原
[PDF111KB]

 
景観保全上重要な草原を抽出。
草千里・米塚をはじめとする中央火口丘周辺
大観峰を代表とする北外輪山一帯
希少動植物の保護上評価の高いメッシュは阿蘇郡東部にまとまってみられる。
阿蘇の草原は利用形態により放牧地、採草地、茅野、湿地に分けられ、多様な草原タイプを維持することが重要。
草原タイプごとの効率的な管理方法
行政や民間による草原保護事業
(2)輪地切り省力化技術に関する検討
 草原維持に欠かせない野焼き継続のネックである輪地切りの省力化に向けて、草刈り省力化の面から検討を行う。
1 既存の恒久防火帯(グリーンベルト等)の検証
2 機械による輪地切り省力化実証試験
3 家畜(モーモー輪地)による防火帯づくりの実証試験

詳しくはこちら
輪地切り省力化技術に関する検討
[PDF543KB]
モーモー輪地実証試験の概要
[PDF161KB]
実証試験中間報告
[PDF141KB]
モーモー輪地切りのポイント
[PDF183KB]

 
省力化技術の導入には、条件にあわせた省力化手法の選択が必要。
恒久防火帯については、景観に配慮しながら、森林管理道などと合わせた道としての整備の検討が必要。
機械刈りは初期投資金額が大きいため、有効に利用するしくみづくりが必要。
モーモー輪地切りは有効性が高いことが実証され、普及に向けた取り組みを進めるべき。
土地利用整序による輪地の短絡化に取り組むべき。
(3)合意形成に向けたイベント開催
参加型イベントの開催により、阿蘇の草原の重要性について、広く地域内外の合意形成を図り、草原保全のための新たな社会的しくみづくりへ向け気運を高めていく。
1 合意形成のためのイベントを計画・実施。
2 都市との合意形成に向けて、観光客へのアンケート調査
3 地域内の合意形成に向けて、牧野組合員へのアンケートやヒアリングによる意向把握

詳しくはこちら
草原景観に関するアンケート調査結果
[PDF141KB]
草原の現状認知について
[PDF211KB]
草原との関わりについて
[PDF199KB]
今後の草原利用について
[PDF120KB]
 
地域内・外の人々を対象として、野焼き・輪地切り省力化をテーマにした「阿蘇草原フォーラム2000」を開催。
地元牧野組合、関係機関との意見交換会の実施。
アンケート結果から、1観光客にとって阿蘇の魅力の中心は草原、2草原維持・管理の現状は余り知られていない、3草原保全への参加・協力意向は高い、ことが明らかになった。
より多くの人々に維持・管理の現状を知ってもらうため、地元では、ルールづくりなど条件によっては草原を開放することも可能という考えもある。
草原の維持管理の現状について広く認識を高めるため、地域にメリットとなるしくみやルールづくりを視野に入れ、草原を開放・活用するイベント計画案を作成した。
今後の草原保全に向けて、地域内の多様な人々による草原維持推進体制の確立に向けての気運が高まった。

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