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関係者インタビュー  

「地域振興には地域の外の人との交流が大事」
井廣明氏氏インタビュー 

<プロフィール>
産山村西原牧野組合組合長、山吹中山間組合組合長。産山村産山在住。56歳。

井廣明氏の写真

質問

 

西原(にしばる)牧野はどんなところですか?

 西原牧野は「日本の棚田100選」に認定されている「扇田」周辺に広がる野草地で、採草・放牧に利用しています。扇田を上り詰めたところにある広々とした採草地からの景観は抜群、写真家の写真集などにもよく使われる場所です。特に原野から見る夕日は私達の自慢で、是非皆さんにも見ていただきたいものです。



質問

井さんが進める農業、畜産業の特徴についてお聞かせ下さい。

 私たちの農業は、牛と米と椎茸が中心です。昔から野の草を牛に踏ませて(飼料にして、その残りが敷き料になる)厩肥を堆肥にして田圃に入れていましたが、今でもそのやり方を続けています。原野でのあか牛放牧、秋の刈り干し切り、冬場はその草で牛を養い、厩堆肥を棚田に入れて米を作る。さらに、放牧地に多く自生するクヌギを榾木(ほだぎ)にして椎茸栽培をする、というように原野の野草などを資源として循環利用した農畜産業を営んでいます。地形的には高低差が大きいため作業面での苦労は多いのですが、野草資源を利用することで健康な牛が育ちますし、原野の近くには山吹水源があって良い水にも恵まれ、おいしい米づくりにもつながっています。



質問 植物保護に向けた取り組みにも力を入れておられるとのことですが。

 瀬井純雄先生(現波野小学校教頭)が産山中学校におられた頃、牧野の調査をされていましたが、その際、草を刈ることにより色々な植物が咲くことを教えられました。牧野内には様々な植物が生育しますが、刈り干し切りをしないとススキとハギばかりになってしまうので、できるだけ広い面積で草刈りを続けたいと思っています。また、夏草を刈ると花がよけいに育つということを伺い、植物保護のために草刈りを始めたところもあります。

 希少種を保護していくためには保護区に指定することも考えられますが、指定することによって盗掘が増えたりして逆効果になることも考えられます。できるだけ自分たちで手をかけながら守っていければと考え、行動していこうと思っています。



質問 牧野の維持管理の状況についてお聞かせ下さい。

入会権者数は20戸くらいですが有畜農家数は5戸に減り、高齢化が進んでいます。牧野は急傾斜地が多いため輪地切りの負担は大きく、野焼きする範囲も徐々に狭くなるなど維持管理は困難になっています。野焼きをしなくなった箇所では、原野の荒れが目立つため、今後できるところから再開させたいと考えています。

  また、地形的な悪条件や、刈り干し切りの時期が稲刈りと重複することなど人手の問題があって、刈り干し切りも多くは刈れない状況になっており、冬場の牛の餌の確保も問題です。

  原野は利用しなければ荒れていきます。大きくみれば、土地所有の問題から利用されない原野が増えているという状況があると思いますが、使いたい人が使えるようなしくみを考えていかないと荒れる原野は増えるばかりで、村も活気が戻らないでしょう。


質問 維持活動支援ボランティア受け入れについてお聞かせ下さい。

 刈り干し切りの期間は9月20日頃〜10月20日頃までと短いですが、その間にコンパクトで2500個近くも作るので大変です。今年は10月中旬に環境省が主催した環境学習ツアーで阿蘇を訪れた福岡の専門学校生達が、研修を兼ねてボランティアで手伝いに来てくれました。刈った草を集めてベーラーでコンパクト化する作業を手伝ってもらいましたが、こちらも非常に助かり、学生さんにとっても阿蘇を知るいい機会になったのではないかと思っています。他の地域の人々との交流は地域のことを知ってもらうことにつながりますし、地域の人々を元気にしていきます。今後も機会があればこういった受け入れを続けたいと思っています。


質問 今後の農畜産業や地域の振興についてどうお考えですか。

今後は、扇田をはじめとする素晴らしい景観、恵まれた環境とともに地元の産品をPRして、農畜産業振興に結びつけたいというのが第一で、米などに素晴らしい環境でできた農産品という付加価値をつけて販売していきたいと思っています。

  また、地域振興には地域の外の人との交流が非常に大事だと思っています。とにかく地域のことを知ってもらいたい。そのためには、多くの人に産山村に来て欲しいし、実際に原野を見て体験してもらいたい。

  村主催で「いなか塾」を作って活動していますが、その中では、外から村に来た人たちのためのガイドブックを作ったりしています。地域を良くしていくためには熱意がなければできません。まず地元が元気に活動し、それに対して外からも応援していただければと思います。


棚田百選:1999年7月26日、農水省によって認定された。(実際は117市町村、134か所)。日本での棚田の定義は、傾斜1/20(20m進んだ時に1m上がる傾斜)以上の斜面にある階段状の水田のことで、面積1ha以上の棚田は全国に13,882か所、901市町村にまたがる。総棚田面積は、水田面積270万ha(1997年)の8%に当たる。(インターネットより)

 
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