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関係者インタビュー  

草原を守る人々「吉田愛梨氏」

(白水村在住 農業 
 NPO九州バイオマスフォーラム理事長 )

吉田愛梨さんの写真

質問吉田さんが代表をされている「NPO法人九州バイオマスフォーラム」について教えて下さい。
  私は、2年ほど前に阿蘇に来て農業をはじめました。阿蘇に来てまず驚いたことは、海外ではエネルギー作物として栽培されているススキが、阿蘇では自然に生えていることでした。その一方で、利用されなくなった草原が増えつつあることも知り、阿蘇でも海外のように草のエネルギー利用が可能なのではないかと考えるようになりました。そこで、有志が集まり草のエネルギー利用のためのシステムの構築を目指す「NPO法人九州バイオマス※フォーラム」を立ち上げました。
 NPOでは、最終的に草のエネルギー利用を目指していますが、今はまだ、採算面を考慮すると仕組みや技術面などにも課題が多いのが現状であるため、まずは飼料や堆肥の原料としての価値を見直し、飼料や堆肥として販売して売れ残ったものをエネルギー利用することを検討しています。現在は、経済産業省の補助金事業として行なっていますが、補助金なしで事業を継続していくことが今後の課題です。ススキの利用価値を生み出し、草原の再利用につなげていきたいと考えています。
 その他にも、バイオマス※の広報啓発にも力を入れており、今年8月にはJA阿蘇青壮部との共同により、地区の夏祭りで廃油を使った発電事業を行いました。地域住民やイベント参加者のみなさんが集めた食用廃油を、バイオディーゼル燃料と呼ばれる軽油に再生し、発電機を稼動させるというもので、仕組みの解説に、住民の方々も熱心に耳を傾けてくださいました。
 このように、NPOらしい柔軟な発想や体制で、地域に根ざした活動に取り組んでいきたいと思います。
  ※ バイオマスとは・・・木や草、生ごみや家畜排せつ物など再生可能な生物資源のことで、化石資源を除いたもののこと。地球上の資源は「鉱物資源」「化石資源(主に石油)」「バイオマス」の大きく3つに分けることができる。


質問 では、実際に草をエネルギーとして利用するのに必要なものは何ですか?
まずは、プラント(設備)が必要です。どのようなプラントが必要かはまだ分かっていませんが、利用の仕方と共に今後検討していきます。
また、地域の方に理解していただくことが必要です。新しい技術の導入に慎重な農家の方々もいらっしゃるので、簡単な装置でもいいので「目に見えるもの」ができるといいなと思っています。
また、来年から家畜糞尿の野積みが禁止されることになり、農家にとってはその処理方法が重要な問題になっています。難しい理屈より「売れ残った牧草の利用」や、「糞尿処理」などの方が、理解が得やすいと考えています。
実際の利用場所としては公用車、学校、産廃などが考えられます。


質問農業に従事されているということですが、主に何を栽培されているのですか。
  白水村に「白水村あおしす米生産組合」があります。あおしす米とは、名水100選にも選ばれた湧水と、有機肥料を中心として栽培したお米で、生産者の顔が見える産直販売を行っているのが特徴です。私も先輩を見習いながら栽培しています。この他にも、野菜の栽培、地元の方と一緒にあか牛の放牧もはじめました。


質問最後に、阿蘇や阿蘇の草原についての思いをお聞かせください。
  日本は、元来完璧な循環型の社会でした。もちろん阿蘇でも農業を中心として循環型の社会が成り立っていました。
 阿蘇における循環型社会に欠かすことのできないものは、毎年春に行なわれる「野焼き」です。しかし、高齢化や生活様式の変化によって時代とともに作業が困難になり、それに伴って循環の流れが滞りつつあり、残念な思いでいます。
 幸いなことに、私が住んでいる地区には、畑、神社、農家など地域を構成する要素も昔のままに揃っています。阿蘇全体で循環型の社会を再構築することは難しいかもしれませんが、地区レベルでは可能だと思います。規模は小さくても隣近所の方と手を取り合いながら、循環型の社会を残していければと思います。
取材日:平成16年9月29日


 
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