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関係者インタビュー  

草原を守る人々「村上ミツ子氏

(プロフィール)
村上ミツ子氏
阿蘇町在住、阿蘇町農産物加工部会会長、阿蘇町食と農を考える女性の会会長、阿蘇町女性の会連絡協議会副会長、阿蘇町農村リゾート推進委員会副会長、一の宮警察署協議会

村上さん写真
 2月25日開催の会合の懇親会で、
レストラン燦より提供した薬膳料理の紹介をする村上氏


質問村上さんは阿蘇町の「はな阿蘇美」に出店している「レストラン燦」の代表をされていて、ふるさと薬膳がお勧めメニューとなっていますが、なぜ薬膳料理を始めたのですか
 町に地元レストランをつくろうということで、「阿蘇町食と農を考える女性の会」のメンバーが中心となって準備を進め、地元の産品を使ったメニューを研究する中で薬膳料理に出会いました。平成9年に内牧の空き店舗を改装して「ふるさと薬膳・レストラン燦」をオープン、2年前からは「はな阿蘇美」に移って営業しています。
 阿蘇でできる美味しく安全な食材を活かしたいということが第一です。その地域で生産されたものを、その地で食すことにより心身ともにいやされ、自然に治癒力がつき、病の予防効果も抜群です。これこそ自然の恵みをいかした薬膳料理だと考えています。


質問「阿蘇町食と農を考える女性の会」には会員が100名もいらっしゃると聞きますが、皆さんはレストランにどのように関わっているのですか
 会は阿蘇町の婦人部6団体で構成され、いろいろな分野の人が集まっています。「レストラン燦」の運営のほか、素材の生産、調達は全てこの会の中で賄っているのです。
 しかし、昨年は冷夏で野菜生産量が不足し、会員が生産するものだけでは足りないため、野菜調達に阿蘇全域を買いまわりました。本来は、会員が生産できる枠のなかで商売をしていきたいという思いがありますが、一方で、安定的に素材調達していくために、阿蘇全体で連携を強めていくことが必要だと感じています。


質問食を提供していくうえでのこだわりやお考えをお聞かせ下さい
 "地域の産物を地域で消費しよう"と言われて久しくなりますが、「レストラン燦」では当初よりこの地産地消にこだわって営業を続けてきました。
 平成10年に頂いた農林水産大臣賞は、「阿蘇には素晴らしい景色があり、空気がよく、そういう土地の地場産の食材を使って訪れる人々に安全・安心な食事を提供している」ということが受賞理由でした。それを聞いたとき、"私たちの生きていく道はこれしかない"と実感しました。
 しかし、当時地元でそんな思いを話しても、ほとんど反応がないという状況でした。今やっと地産地消の取り組みが進められるようになり、私たちの活動もわかってもらえるようになりました。
 実際にレストラン運営に携わっている人達は、顔の見える商売をしたいと考えています。どういう方が食べて下さっているのか見える状況、また、作るだけでなく説明しながら出したい、というのが現場で働く人々の願いです。

質問ほかにも様々な活動をなさっていますが、その中で、農産物加工部会というのはどんなことをするグループなのですか
 阿蘇町農産物加工部会は平成3年9月に農協婦人部で発足しました。自分達が生産する素材に付加価値を付け、本物の味と安全な産品を消費される皆さんに提供しようと加工所を補助事業でつくり、今まで続けてきました。小売店舗や生協に卸すほか、ホテルや旅館にも使って頂いています。
 漬物作りが中心で、加工部会が開発した「赤ど漬け」は阿蘇たかな漬けと並んで人気があります。また、黒大豆きな粉も健康食ブームで売れ行きが上がっています。
 農産物加工所で働くのは農協婦人部の女性約20名、全員が農家の主婦です。平均年齢は64〜5歳と高齢ですが、最近は若い人も入ってきています。農業をしながら働ける場所を、というのが私達の願いであり、みんな家の仕事をしながら交代で出勤しています。
 発足して既に14年になり、平均年齢は高くなりましたが、働いているみんなの気持ちは若くて元気です。それは明日があるからで、加工所に行くことが生活に張りを与えているからだと思います。農業だけやっている場合、どうしても家に閉じこもりがちで夢も持ちにくいということがあります。地元産品を生かした加工品の生産だけでなく、地域の人々が元気で働ける場所を提供しているということでも意味があると思っています。

質問地産地消の運動は阿蘇の草原の保全・再生にも関わりがあると思いますが、草原保全・再生についてお考えをお聞かせ下さい
 今は地元の人たちも山に登る機会が減り、森林は手入れをしなくなったため荒れています。畜産農家が減り、牛の頭数も減ったため、牛が足で踏み固めるということがなくなり、山津波などの災害が起きる危険性が非常に高くなっています。森林の手入れやあか牛を見直すこと、山に登ることが私達の生活の安全性にもつながるのではないかと常日頃考えています。「レストラン燦」ではあか牛メニューが豊富で、消費拡大の一端を担うことにより、草原保全につながればと思います。
 以前、大観峰に行ったときに吹き溜まりのゴミの山を見ました。それを見て、そこに放牧している牛をみれば、あか牛肉を食べたくないと思うかもしれない、そういうことが一番大事なことかもしれない、と思いながら帰ってきました。地元として、周辺をきちんとしていくことも考えていかなければなりません。BSEの時には、農協から各戸に肉の割り当てがあるなど、協力してみんなで守っていかなければということで、農家は互いに助け合いで頑張ってきました。消費者があか牛肉を買いたいという気持ちを駆り立てていくには、どうしたらいいかというあたりも考えていく必要があると思います。
 高齢化が進むなかで、若い人は何とかして自分の家の生計を立てなければならないということで、牛を全部処分して別な生き方を考えている人も多いというのが現状です。トマトやキュウリを作っている農家の方は山の草が肥やしとして一番良いということをわかっています。選別する人も山の草を使ったトマトは味が違うため「あそこのはおいしかばい」と言います。我が家ではバラを作っていますが、バラの中に敷くのにも野草が良く、自分で刈り取ってくるだけでは全部賄えないので、買って入れているという状態です。農産品は質が大事ですから、阿蘇の産品の味を統一したり品質を上げるために、農家に野草を使うことを指導して頂きたいと思います。

 
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